第6回 「聖書入門ーキーワードで読む 福音(εύαγγέλιον、エウアンゲリオン)

第六回 福音(εύαγγέλιον、エウアンゲリオン)

「福音ー良き知らせ」

聖書は、「福音」(エウアンゲリオン)という言葉を、93回も記しており、福音はgoodnews , 良き訪れを意味します。ギリシャ語のエウアンゲリオンのエウは、良いという意味で、アンゲリオンは知らせを意味します。聖書のメッセージは、福音にあるといっても過言ではありません。英語では小文字のgospel が「福音」を意味し、大文字のGospelは、「福音書」を意味しています。皆さんはアニメ作品の「エヴァンゲリオン」を知っておられると思います。それは、なんと福音を意味しています。もちろんアニメの「エヴァンゲリオン」は、聖書の言う福音を語っているわけではありませんが。
今日は、聖書の「福音」について、三つのポイントから考えたいと思います。
 第一点は、福音ー良き訪れの内容です。聖書のいう福音とは何でしょうか。第二点は、そのよきおとずれが他の人々に伝えられる必要があることです。第三点は、それは、信じられる必要があるということです。福音を聞いて、拒否することもできます。人間には選択する責任があります。

「福音の内容」

パウロは、「私は福音を恥じとしません。福音は、ユダヤ人をはじめギリシャ人にも、信じる全ての人々に救いをもたらす神の力です。」(ローマ書1:16)と言っていますが、福音を聞き、信じることによって、救いを得ることができます。それでは、聖書が示す良き訪れとは一体何でしょうか。
最初にイエスがキリストとして、救い主としてこの世界に生まれたことがgood news です。御使いは、羊飼いたちにこの喜びの訪れを語っています。

「私は、この民全体に与えられる、大きな喜びを告げ知らせます。
今日ダビデの町で、あなた方のために救い主がお生まれになりました。
この方こそ主キリストです。」(ルカ2:10-11)

次に、イエスの十字架と復活が福音の実質的な内容です。パウロは、次のように書いています。

 「兄弟たち、わたしがあなたがたに宣べ伝えた福音を、改めて知らせます。あなたがたは,その福音を受け入れて、その福音によって立っているのです。わたしがどのようなことばで福音を伝えたか、あなた方がしっかり覚えているなら、この福音によって救われます。そうでなければ、あなた方が信じたことは無駄になってしまいます。私があなた方に最も大切なこととして伝えたのは、私も受けたことであって、次のことです。リストは聖書に書いてある通りに、私たちの罪のために死なれたこと、また葬られたこと、また3日目によみがえられたことです。
(1コリント15:1-4)

すなわち、イエス・キリストがこの世界に誕生されただけではなく、私たち一人一人の罪を負って十字架にかかり、3日目によみがえって今も生きておられることが、good newsです。なぜなら、イエス・キリストを私たちの救い主と信じることによって、罪赦され、永遠のいのちが与えられるからです。

「福音が伝えられること」

第二に、福音ー良き知らせは、伝えられなければなりません。難病が治るような新薬が開発されても、それが患者に知らされなければ意味がありません。
聖書には、「なんと美しいことか、良い知らせを伝える人たちの足は」(ローマ書10:15)と記されてあります。
 私は、大学受験をした時に、電報で合格を知りました。当時、受験の結果は、合格者の受験番号が掲示板に貼り出されれるので、受験者はそれを見て、合格したか、不合格かを知ることができました。私は、当時、父親の仕事の関係で奈良にいましたので、東京まで見にいくことは大変な出費になりますので、当否を電報で伝えるアルバイトをしていた大学生に電報を依頼しました。電報が来て、開封した時、「花咲く」とあり、大喜びで、家族にも伝えたことがあります。幸いなことに「花散る」ではありませんでした。喜びの知らせは、自分に留まらず、伝染していくものです。

  「福音が信じられること」
  
 第三に、福音が伝えられた時に、それを信じるか、拒否するかの選択を迫られます。日本がポツダム宣言を受け入れたことで、1945年8月15日に太平洋戦争が終わりました。その終戦の知らせは、フイリピンやインドネシアで戦っていた兵士にも伝えられましたが、敵の仕業と思った兵士は、その情報を信じようとはしませんでした。グアム島で戦っていた横井庄一陸軍軍曹(1915〜1997)は、終戦の放送を聞いても、「私たちは敗戦を信じられず、相変わらず敵の襲撃を恐れてジャングルの中をさまよい続けたのです。長くとも十年待っておれば、必ず日本軍は力を盛り返してこのグアム島へも攻め寄せてくると固く信じておりました。」と述べています。横井さんが日本に帰還したのは1972年の2月でした。またフイリピンのルバング島で戦っていた小野田寛郎陸軍少尉(1922-2014) がフイリピンから帰国したのは、戦争が終わって29年も経過している1974年3月でした。

「聖書の勧め」
 
マルコの福音書には、冒頭に「神の子、イエス・キリストの福音のはじめ。」(マルコ1:1)とあり、「時が満ち、神の国が近づいた。悔い改めて、福音を信じなさい」(マルコ1:15)と勧められています。
どうぞ、イエスの十字架と復活を通して実現した福音を信じて、喜びに満たされ、新たな人生に入ってください。

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