聖書メッセージ38

O・ヘンリーと聖書(1)

ー神の最高のプレゼントー

 一年に一度か二度、日曜学校で聖書のお話をすることがあります。その時に好んで話するのが、アメリカの短編小説家O ・ヘンリー(1862〜1910)が書いた「賢者の贈り物」と「最期の一葉」です。ユーモアのセンスがあり,悩んだ魂を慰める短編を書いたO・ヘンリーがどれだけ聖書を読んでいたのかはわかりません。ただ彼の短編を読むと、私はイエス・キリストのことを考えるのです。

 12月24日は、クリスマス・イブです。短編「賢者の贈り物」では、ニューヨークに住んでいる貧しい夫婦が、クリスマス・イブにプレゼントの交換をします。妻のデラは、夫のジムが一番気に入っている金時計につける立派な鎖を買おうと心に決めます。というのも夫が時計につけているものはオンボロの革紐だからです。デラは、ジムへのプレゼントのために、ずいぶん前から貯金してきたのですが、一ドル八十七セントしかありません。デラが買おうとしていたプラチナの鎖は二十一ドルもするのです。そこで、デラは彼女が最も自慢していたひざ下まで届く美しい長い髪を二十ドルで売って、ジムのためにプラチナの鎖を買います。

 ジムはジムで、デラの美しい、長い髪をとくための高価な櫛のセットを、父親の形見で、彼が最も大切にしていた金時計を売ってまで、購入するのです。その櫛のセットはデラが以前から欲しがっていたものでした。
プレゼントの交換の瞬間、ジムはデラの美しい髪がないのに気づきます。またデラはジムの金時計がないことに驚くのです。二人は何と無駄なことをしたのでしょうか。貧しい二人にとって、損失は大変なものです。しかしO・ヘンリーは、このプレゼント交換を「賢者の贈り物」と言っています。

 ジムとデラは、互いに心から愛していました。ジムは自分が最も大切にしていた金時計をデラのために喜んで犠牲にし、デラは、自分が最も気に入っていた美しい髪をジムのために手放しました。二人は、クリスマス・イブにこのようにしてお互いの深い愛を確認しあったのです。彼らが受けたものは、プラチナの鎖や高価な櫛のセットよりはるかに大事な愛でした。

 クリスマスは、イエス・キリストの誕生をお祝いする時です。神が、私たちに与えてくださった最高のプレゼントが、神の独り子イエス・キリストです。ルカの福音書の中には、イエス・キリストの誕生について、「今日、ダビデの町で、あなた方のために救い主がお生まれになりました。この方こそ、主キリストです。」(ルカ2:11)と記されてあります。神は私たちの救いのために、つまり罪の赦しのために、また永遠のいのちを与えるために、最も大事な独り子をこの地上に遣わし、私たちの罪のすべてをこの方に負わせ、十字架につけられたのです。それは、神が私たち一人一人に示された最高の犠牲の愛の証明なのです。神はなんと私たちを愛しておられるでしょうか!

「神は、実に、その独り子をお与えになったほどに世を愛された。
 それは、御子を信じるものが、一人として滅びることなく、
 永遠のいのちを持つためである。」 (ヨハネの福音書3:16)

 私たちがなすべきことは何でしょうか。ただこの神の愛に応答することだけです。「応答する」とは、英語でresponseと言いますが、神の愛に応答し、十字架につけられ三日目に復活されたイエス・キリストを「救い主」として信じることこそ、私たちの最大の「責任」(responsibility)ではないでしょうか。
 皆様の上に、神様の豊かな祝福があるようにお祈りしています。