聖書メッセージ27「神に帰るー黄色いハンカチ」

第27回「神に帰るー黄色いハンカチ」


1971年に『ニューヨーク・ポスト』にビート・ハミルというコラム二ストが、going home (家に帰る)というコラムを書きました。日本ではこのコラムを題材にして、1977年に山田洋次監督、高倉健主演で、映画「幸福の黄色いハンカチ」が制作されました。まず、このコラムのあらすじを紹介します。

ニューヨークからフロリダに向かうバスに、男女6人と初老の男性が乗り込んで来ました。この男性は最初は押し黙っていましたが、次第に身の上話を始めるようになりました。彼は犯罪を犯し、4年の刑期を終えて、故郷に帰る途中でした。彼は故郷に帰る前に、奥さんに手紙を出していました。そこには、次のように記されてありました。
「あなたが別の男と暮らしているなら、私は邪魔しない。でももしわたしを迎え入れてく
れるならば、村の入り口のオークの木の枝に黄色いハンカチを一枚結び付けてくれ。で
ももし私に会いたくないなければ、なにもしなくて結構です。」
バスがだんだん村に近づいてくると、若者たちは一斉に右の窓際に移って、オークの木が見えて来るのを待ち構えていました。男性の顔はだんだん緊張して、こわばってきます。オークの木を見るのがこわくて仕方がないのです。妻が自分を迎えようとしているのか、心配で仕方がないのです。バスの中には、緊張した気分が漲っています。
次の瞬間、若者たちが全員立ち上がりました。歓声がどっと上がり、彼らは小躍りして、拳を振り回していました。見るとオークの木の枝という枝に、何百もの黄色いハンカチが見事なほどにかけられ、風になびいていたのです。この何百枚もの黄色いハンカチは、夫に対する妻の「限りない赦しと愛」の表れであったのです。奥さんは、夫が帰って来るのを、今か今かと待っていたのです。

この話しを聞いた時、私は有名な聖書の「放蕩息子」の記事(ルカの福音書15章11-24節)を思い出しました。ここでは、弟息子が父親に反逆し、家出をします。その時に父親に生前贈与を要求し、大金を手にしますが、苦労して得たお金ではないので、湯水のように使い果たして無一文になり、食べるにも困り果ててしまいます。人間以下、いや動物以下の存在 に成り下がってしまいました。絶望の中で、彼は本心に立ち返り、自分の父親に対する背信を悔い改め、父親の家、自分の故郷に帰ることを決意します。彼は言います。
「立って、父のところに行こう。そしてこう言おう。『お父さん、私は天に対して罪を犯
し、あなたの前に罪あるものです。もう息子と呼ばれる資格はありません。雇い人の一人
にして下さい。』
帰ってこようとする放蕩息子を父親はどのように迎えたでしょうか。放蕩息子は父親が自分を迎え、歓迎してくれるか心配だったに違いありません。もし私が父親であるならば、息子を赦さず、なぜ私に反逆したのか、今まで何をしていたのか、なぜ貴重な財産を湯水のように使い果たしたのかと烈火の如く怒り、家に受け入れようとしないでしょう。しかし聖書は、この父親の態度について次のように記しています。
「こうして彼は立ち上がって、自分の父のもとへと向かった。ところが、まだ家まで遠か
ったのに、父親は彼を見つけて、かわいそうに思い、駆け寄って彼の首を抱き、口づけし
た。」
ここに放蕩息子の罪を赦し、心から家に迎える父親の姿が描かれています。父親は、放蕩息子が悔い改めて、帰って来るのを今か今かと待っていたのです。そして、最も良い着物を着せ、指輪を嵌めさせ、雇い人としてではなく、息子として 迎えるのです。
実は、ルカの福音書15章に登場する父親は、私たちの命の源である神様を示しており、放蕩息子は、創造主である神様に背を向けて、自己中心的な生活をしてきた私たちの姿を映し出しています。放蕩息子は、私たちと無関係な存在ではなく、私たち自身なのです。妻が罪を犯した夫を一枚ではなく、何百枚もの黄色いハンカチで迎えたように、神はそれ以上の大きな愛と赦しをもって、失われた魂が神のもとに悔い改めて帰るのを待っておられます。

神は、私たちの罪を赦し、神のもとに立ち返ることができるために、罪のない一人子イエス・キリストをこの地上に遣わし、この方に私たちのすべての罪を負わせられました。キリストの十字架の犠牲によって、罪が赦され、神に帰る生ける道が開かれたのです。ここに神の愛があります。神様は私たちに今も語っておられます。

「私は、あなたの背きを雲のように、あなたの罪をかすみのように消し去った。私に帰れ。
私があなたを贖ったからだ。」(イザヤ書44章22節)

あなたも、イエス・キリストを救い主として信じて、神に帰る決意をされませんか。神は天国において、何千、何万の黄色いハンカチをもって、迎えてくださるでしょう。天国への門が開かれています。

文責 古賀敬太

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