第2回 ヘセド(חֶ֥סֶד、神の愛、lovingkindness)

第2回 ヘセド(חֶ֥סֶד、神の愛、lovingkindness)

<ヘセドの愛>

ヘセド(חֶ֥סֶד)は、主に神の愛を意味する言葉として用いられており、旧約聖書に200回以上も登場する頻出単語です。日本語訳の聖書では、「恵み」、「慈愛」、「親切」、「真実の愛」、「憐れみ」、「誠実」などと翻訳されています。いずれも愛から派生している言葉です。ヘセドの根底には「愛」があり、相手を大切に思う心があることが分かります。
もっとも、ヘセドの愛は、心の中から自然に湧き上がってくるような感情ではありません。ヘセドは、本来、契約関係にある者が互いに守るべき誠実な態度を示す言葉ですから、一時的で感情的な愛ではなく、契約関係がベースとなっている揺るぎない愛であり、感情的な愛ではなく、愛そうという意志による愛です。最も分かりやすいヘセドの愛は、婚姻契約に基づく夫婦間の愛でしょう。夫婦間の愛は、単なる感情的なものではなく、互いに愛そうとする意志であると言われますが、その愛がまさにヘセドです。

<古い契約によるヘセドの愛>

「神はヘセドに富んでいる」と神ご自身が語られているように(出エジプト記34:6)、ヘセドは神の重要な本質です。神の愛は、契約関係にある者に対する誠実な愛であり、愛そうとされる神の意志です。
旧約聖書の時代において、神は、イスラエルの民と契約を結ばれました。神が定めた十戒をイスラエルの民が守るならば、神はイスラエルの民を宝物のように愛し、祝福するという契約です。この契約を「シナイ契約」といい、「古い契約」とも表現します(ちなみに、旧約聖書の「旧約」とは古い契約という意味であり、シナイ契約を指しています)。この古い契約は、神とイスラエルの民の婚姻契約です。神は、イスラエルの民と婚姻契約を結び、妻であるイスラエルの民をヘセドの愛で愛し続けましたが、イスラエルの民は何度も偶像礼拝に陥り、霊的な姦淫(不倫)をして神を裏切りました。神は、そのようなイスラエルの民に対して、「あなたがたの真実の愛(ヘセド)は朝もやのよう、朝早く消え去る露のようだ」(ホセア書6:4)と嘆かれたほどです。夫は、ヘセドの愛で妻を愛したのに、妻はヘセドの愛で応答することができませんでした。

<新しい契約によるヘセドの愛>

しかし、「わたしは、イスラエルの家およびユダの家と、新しい契約を結ぶ。」(エレミヤ書31:31)とあるように、神は、イスラエルの民を見捨てることなく、新しい契約を結ばれました(新約聖書の「新約」とは、この新しい契約のことです)。イエス・キリストが神の子であり、救い主であることを信じる者は、罪が赦されて神の怒りから救われ、永遠のいのちを与えられる。これが新しい契約の内容です。神は、今もイスラエルの民(現在のユダヤ人)にヘセドの愛を注がれ、イエス・キリストを救い主として受け入れるように願われています。
そして、新しい契約は、古い契約とは違い、イスラエルの民だけのものではありません。異邦人(イスラエルの民以外の人々)であっても、イエス・キリストを信じる者は誰でも、神と新しい契約を結ぶことができます。これは古い契約と新しい契約の大きな違いです。私たち日本人も、イエス・キリストを信じることによって、神に愛され、神を愛するヘセドの愛の関係に入ることができるのです。

<ヘセドの愛の成就>

聖書は、この世界の全てが消え去った後、新しい天と新しい地が創造されると記しています。神と新しい契約を結んだ人は、新しい天と新しい地に入ることが許され、父なる神とイエス・キリストと共に住み、永遠にヘセドの愛の関係で結ばれます。人間にとってこれ以上の喜びはありません。
「神は人々とともに住み、人々は神の民となる。神ご自身が彼らの神として、ともにおられる。」(黙示録21:3)
神は新しい契約を結んだ人々とともに住み、その愛の関係は永遠です。ヘセドの愛は、このようにして新天新地で成就するのです。

        竹内大明   

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